体調や季節の変わり目などに、親知らずの痛みや不快感に悩んでいる人は少なくありません。「痛み止めを服用するなどして様子見をしているけれど、このまま放置していてもいいのかな?」と不安に感じる方もいるでしょう。
この記事では、親知らずの萌出の種類や悪影響などについて解説します。放置するとさまざまなリスクがありますが、必ずしも抜いた方がいいとも言えません。
最後には親知らずを抜くメリット・デメリットについても紹介するので、ぜひチェックしてください。
親知らずとは
親知らずとは、正式名称『第三大臼歯』で、手前の歯から数えて8番目の歯を指します。
15歳以降に生えることが多く、多くて4本生えますが、すべての人に生えるというわけではありません。また、1本だけ・2本だけというように、部分的に生えるというケースもあります。
まっすぐ生えれば特に問題はありませんが、横や斜めの向きの場合はセルフケアしづらく、虫歯や歯周病になるリスクが高まります。
親知らずの萌出の種類
親知らずが生える部分(萌出)は人によって異なり、リスクや痛みなどにも違いが出ます。主な萌出として、以下のような種類が挙げられます。
完全埋伏歯 | 完全に骨の中に埋もれていて見えない状態 |
不完全埋伏歯 | 歯の一部だけが歯茎から出ている状態 |
水平埋伏歯 | 完全埋伏歯完全と同様に歯茎の中に埋もれているが、歯が横を向いた状態 |
歯全体がきれいに見えていない状態は、歯が生えるためのスペースが不十分であることが原因で起こります。歯の本数やサイズに対して、歯茎のスペースが足りていないということです。
埋伏歯は膿が溜まったり、歯並びが悪くなったりする原因にもなりかねないので、抜いたほうがいい可能性もあります。
親知らずが及ぼす悪影響
親知らずは、まっすぐきれいに生えていれば問題ない場合が多いですが、方向や萌出によってはリスクをもたらします。以下では、親知らずが及ぼす悪影響を解説します。
親知らずが萌出する時期
萌出するのは、18歳から24歳の間くらいと言われています。通常の永久歯は12歳までに生えているのに対し、親知らずは8歳ごろから成形されはじめ、14歳ごろに形ができます。
第二性徴の影響を受けやすいため、女性よりも男性の方が早く完成する傾向にあります。
親知らずの萌出で見られる症状
親知らずの萌出で見られる症状として、痛みと腫れが代表的です。
特に歯茎の奥深くに埋もれている・斜めや横向きに生えているなど、イレギュラーな生え方の場合、その痛みや腫れもひどくなるでしょう。
もっとも痛みや腫れの症状がひどくなるのは歯茎の奥深くに横向きに生えた場合で、抜歯の難易度も上がります。
矯正中の方が注意した方がよいポイント
矯正中は、親知らずが邪魔になるために事前に抜歯したほうが良いケースもあります。ただし、すべてのケースにおいて、矯正前に抜いたほうがいいというわけではありません。
たとえば、まっすぐに生えていて矯正や日常生活に問題が無い場合は、特に抜歯せずに治療を続けることもあります。反対に、横や斜めの向きに生えた場合は強制後の歯並びに悪影響を及ぼすリスクがあるので、事前に抜く可能性が高いです。
そのほかにも、あごが小さく歯がきれいに並ぶスペースがない場合も、親知らずを抜いて他の歯を納める空間を確保するでしょう。
親知らずを抜いたほうが良い場合の特徴
親知らずは抜いたほうがいいのか、抜かないほうがいいのか迷ってしまうという人もいるでしょう。以下のようなケースに当てはまる場合は、抜歯を検討した方がいいかもしれません。
- 親知らずが原因で歯茎が定期的に腫れる
- 隣の歯が虫歯になる
- 歯茎のスペースがせまくなり、歯並びが悪くなる
- 親知らず自体が虫歯になってしまった
- 親知らずによって歯茎や内頬を噛んでしまう
口の中はデリケートなので、傷や細菌を放置していると悪化してしまいます。その原因が親知らずにある場合は、早急に歯科医に相談することをおすすめします。
親知らずを抜くメリット・デメリット
親知らずの抜歯はメリットもデメリットもあるため、それぞれを把握したうえで治療を検討しましょう。
メリット
親知らずを抜くと、以下のようなメリットがあります。
- 虫歯や歯周病の予防
- 口臭の改善
- 歯磨きがしやすくなる
上下左右のそれぞれ奥側に生えるので、歯ブラシが届きにくく、セルフケアが難しい傾向にあります。
横や斜めの向きに生えていると、触れ合う他の歯を傷つけてしまうリスクもあります。傷やプラークが虫歯・歯周病に繋がるリスクを回避できる点は、親知らずを抜くメリットと言えるでしょう。
ケアしづらくプラークや食べかすが溜まりやすいため、口臭の原因にもなります。口臭が気になる人は、一度抜歯を検討してもいいかもしれません。
また、親知らずが邪魔になって磨けなかった他の歯をケアしやすくなるため、歯磨きの効率もアップします。
デメリット
一方、親知らずを抜くと以下のようなデメリットもあるので注意が必要です。
- 痛みが出る可能性がある
- 治療中に神経を傷つける場合がある
- 抜歯後に開口障害が出る可能性がある
治療中は麻酔を使用できても、その後麻酔が切れると抜歯した部分から痛みを感じるようになります。口の中に出血や腫れが生じるかもしれません。痛みが気になっても、舌や手で触れると悪化する可能性もあるので、安静にするようにしましょう。
また、治療中の神経の負傷にも注意が必要です。歯が埋まっている骨には神経が通っており、その神経に傷がつくと、頬やくちびるにしびれが残る可能性があります。下歯槽神経麻痺になるリスクがまれにあると認識しておきましょう。
そして、人によっては抜歯後に開口障害がおこる可能性もあります。1週間程度で納まることが多いですが、口が開けにくくなったり、痛みを伴ったりするリスクがあります。
親知らずのケア方法
最後に、親知らずのケア方法について解説します。セルフケアをする際は、以下の2つのアイテムの使用がおすすめです。
歯ブラシ
歯ブラシで親知らずを磨く際は、以下のポイントに気を付けましょう。
- 口を大きく開けて、歯ブラシが奥まで届くようにする
- 歯ブラシの毛先を親知らずにしっかり当てる
- 小さく歯ブラシを動かす
親知らずは意識して歯ブラシの毛先が当たるようにしなければ、食べかすや歯垢が残りやすいです。側面を磨くときは、口を小さめに開けて、歯ブラシが行き来しやすいようにしましょう。
そして、親知らずだけでなく隣り合わせの歯もしっかりケアしてください。
タフトブラシ
タフトブラシとは、歯ブラシの毛先が一点に集中したような形で、細かい部分を磨く際に便利です。歯ブラシによるケアのあと、仕上げとして利用するといいでしょう。
タフトブラシのポイントは以下のとおりです。
- 鉛筆と同じような握り方で動かす
- 歯の隙間やくぼみなど細かいところを入念に磨く
磨き終わったあとは鏡でチェックしたり、舌で触れてツルツルしているか確かめたりすると、より安心です。
まとめ
この記事では、親知らずの萌出の種類や悪影響などについて解説しました。親知らずは18歳から24歳くらいに生える傾向にあり、生え方によっては痛みや腫れを引き起こします。
横や斜めの向きに生えた場合や、歯茎の奥深くに残っている場合などは歯肉や歯茎にも悪影響を及ぼす可能性もあるので、歯医者にかかることを検討してください。もし、難症例の親知らず抜歯でお悩みなら、大阪にある橋本矯正歯科など、実績を持った経験豊富な歯科医師に頼むのがよいでしょう。
抜歯をする際には、矯正治療とそれに伴う埋伏親知らずの抜歯を得意とした専門医院を選ぶことがおすすめです。通いやすさも重要なため、地域に根差した安心できる病院を探しましょう。